断熱材をケチると家の寿命が縮まります!

家は断熱材により内部と外部の温度差による弊害から守られています。断熱材が無い状態で暖房や冷房を使った場合、材料の表面や躯体が結露し腐ってしまい、家の寿命を縮めてしまいます。外部から室内に入り込もうとする汚染物質は断熱材により遮断されています。では、断熱性が極端に高い材料を使えばよいかというと、そうではありません。断熱性が高く熱が伝わり難い物質は、可燃性が高いことが知られています。しかし、可燃性が高い物質は火災を激しくする危険があり、好ましくはありません。そのため、断熱材は断熱性と可燃性のバランスが必要なのです。
断熱性を示す物理量に熱伝導率があります。熱伝導率は材料ごとに違う熱の伝わりやすさを示すもので、大きいほど熱が伝わりやすいことを示しています。断熱が目的で使われる材料は熱伝導率が小さいほど性能が高いことになります。熱伝導率と燃えやすさは直接の関係はありませんが、その数値が高いと燃えにくいし性質があります。鉄は熱伝導率が高く、熱が伝わりやすい材料ですが、燃えにくい性質を持っています。木材は熱伝導率が低く、熱が伝わり難い材料ですが、燃えやすい性質です。建築に使う材料は断熱性と可燃性のバランスが重要と言うことになります。
昔の住宅は内部と外部の温度差があまり無く、結露が生じることもあまりありませんでした。しかし、内部の人は快適に暮らせず、かなりのストレスが生じていたので短命だったのです。現代の住宅は高気密で高断熱です。内部の人は快適に暮らせますが、結露の発生リスクは高まりました。内部と外部の温度差が大きくなったためで、素材が腐ることが増え、建物の寿命を短くさせています。特に問題となるのは室内の仕上げの表面に発生する結露ではなく、壁の内部に発生する内部結露です。内部結露で素材が腐るリスクは高まり、建物の寿命に関係することになります。
現代の住宅で内部結露の発生を抑えるには、壁の内部に湿気が入り込まないように、気密性を向上させることが大切となります。ビニル製のフィルムなどにより気密性を高めることで湿気が壁の中に入り込まず、寧分結露の発生を防ぐことができます。気密性を高めることは外部の汚染物質の侵入を防ぐ意味もあります。高断熱と高気密は合わせて必要で、どちらが欠けても問題が残ります。断熱材は家と人を守る大切な材料なので、ケチることなく設置することが大切です。断熱材の設置は省エネにも貢献し、地球環境を守ることにつながります。